第6回生物音響学会年次研究発表会

開催集会名:6th Annual Meeting of the Society for Bioacoustics(第6回生物音響学会年次研究発表会)

主催者:一般社団法人生物音響学会(The Society for Bioacoustics)

開催日程:令和元年11月20日 ~ 令和元年11月22日

開催場所:茨城県つくば市竹園2-20-5 文部科学省研究交流センター

参加者:89名(日本、イタリア、イギリス、インド、スロベニア、ドイツの6ヶ国より)

開催報告:

 6th Annual Meeting of the Society for Bioacoustics(第6回生物音響学会年次研究発表会)が、文部科学省研究交流センター(茨城県つくば市、写真)において2019年11月20日(水)~22日(金)に行われた。一般社団法人生物音響学会の第6回生物音響学会年次研究発表会実行委員会(高梨琢磨委員長)の主催により、生物に関連した音関係の基礎的・応用的研究について、ヒトや動物の聴覚、音や振

研究交流センターと参加国の国旗

動の影響、行動、神経機構、モデルや方法論などを対象とした英語による発表が行われた。会期中の2019年11月20日(水)には、公開国際シンポジウム「Insect Bioacoustics and Biotremology(昆虫の生物音響学とバイオトレモロジー)」を、6学協会(日本音響学会聴覚研究委員会、日本応用動物昆虫学会、日本動物学会、日本騒音制御工学会、日本昆虫科学連合、特定非営利活動法人バイオミメティクス推進協議会)の後援を受けて開催した。日本そしてイタリア、イギリス、インド、スロベニア、ドイツの6ヶ国から、生物音響学会員と非会員をあわせて、総勢89名が参加した。

 シンポジウムでは、テーマであるバイオトレモロジー(振動交信や振動感覚、それらの応用などを含む新分野)の第一人者Valerio Mazzoni博士(イタリアFondazione Edmund Mach、振動害虫防除)と、宮竹貴久博士(岡山大、甲虫の擬死と振動)、上川内あづさ会員(名古屋大、ハエの聴覚と交信)、中野亮会員(農研機構、ガの超音波害虫防除)や高梨琢磨会員(森林総研、昆虫の振動害虫防除)が講演を行い、活発な議論となった。また昆虫の生物音響学の第一人者James Windmill博士(イギリスUniversity of Strathclyde、ガの聴覚とコウモリとの関係)の講演を予定していたが、本人の事情により変更となった。シンポジウム終了後には、ポスター会場にてミキサーを行い、参加者間の情報交換そして交流が行われた。

 年次研究発表会では、海洋音響の第一人者、G. Latha博士(インドNational Institute of Ocean Technology)、Natasa Stritih博士(スロベニアNational Institute of Biology、昆虫の神経生理学)そして関喜一博士(産総研、障害物知覚)、斎藤馨博士(東大、サイバーフォーレスト)、武智正樹博士(東京医科歯科大、聴覚器の発生・進化)、後藤龍太郎博士(京大、ゴカイの発音)、向井裕美会員(森林総研、カメムシの振動と孵化)による招待講演が行われた。上記の招待講演を含めて、22件の口頭発表と19件のポスター発表が行われた。本研究会において、学生および博士号取得後3年以内の若手研究者が行った優秀なポスター・口頭発表についての選奨を実施し、Most Outstanding Presentation Award(生物音響学会最優秀賞)をValeria Fattoruso 会員(University of Trento)が、Outstanding Presentation Award(生物音響学会優秀賞)を中村頌湧(佐賀大)、小林啓悟(大阪大)両会員が受賞した。また特別展示「パノラミックサウンドと水中パノラミックサウンド(産総研・蘆原郁博士)」も開催され、参加者の関心を集めた。懇親会は、研究交流センター付近のインカローズにて行われ、盛況だった。

 本研究会において、Proceedings of the 6th Annual Meeting of the Society for Bioacoustics(研究発表会要旨集)に加えて、切り絵がデザインされた、生物音響学会オリジナルとなるバッグや、ポリテックジャパンにより製作されたクリアケースが配布され、参加者には好評であった。また、生物音響学会編集の『生き物と音の事典』(朝倉書店)が、本研究会開催直前に発刊となったので、周知した。会場にて取材をうけた参加者4名による振動や超音波を用いた害虫防除の研究成果について、朝日新聞朝刊(2020年3月2日)に科学特集記事として掲載された。なお、次回の第7回生物音響学会年次研究発表会は、2020年12月上旬に開催する予定である。

 末筆ながら、本研究会の参加者各位、助成をいただいた(公財)セコム科学技術振興財団、ご支援いただいたポリテックジャパン、東陽テクニカ、研究交流センターの関係者各位、切り絵を製作された福井利佐氏、そして第6回生物音響学会年次研究発表会実行委員の中野亮、赤松友成、蘆原郁、土原和子、上地奈美、向井裕美各委員、生物音響学会役員並びにアルバイト関係者各位のご尽力に心から感謝申し上げる。